近年、経済社会の複雑化・高度化に伴い、情報産業の進展や技術革新による商品の開発、各種サービスの多様化がもたらされ、商品及びサービスの選択肢は飛躍的に増加しました。その反面、消費者と事業者の間の格差が拡大し、消費者がトラブルに巻き込まれる事態が増加しており、市民の生活の安定向上及び経済の健全な発展が阻害されています。
平成26年度の山梨県「県民生活センター業務概要」によれば、平成25年度に山梨県民生活センターへ寄せられた消費生活相談の件数は総計4821件と、平成24年度に比べ約109%と増加しています。また、山梨県消費者団体連絡協議会の調査によれば、平成25年度の山梨県内の各市町村に対する消費生活相談件数は1892件(うち、甲府市消費生活センターが1208件、富士吉田市消費生活センターが430件)と、平成24年度に比べ約116%と増加しています。山梨県内においては、全国とほぼ同様に、急速な高齢化や高度情報化等の進展によって、高齢者をねらった様々な悪質商法等の増加や、日々変化するIT関連被害など、消費者トラブルが多様化・深刻化し、消費者被害の予防・救済が急務となっています。
このような中、平成18年には、消費者契約法の改正により、事業者による不当な勧誘行為および不当な契約条項を使用した契約について、認定を受けた適格消費者団体による差止請求に係る訴えが制度化されました。消費者契約に関連する被害は、同種の被害が広範かつ多数にわたる特徴があり、個別的・事後的な救済では、被害の予防ないし拡散を防止することが困難でしたが、消費者団体訴訟制度の導入により、適格消費者団体は事業者の不当な勧誘や約款の使用などに対する差止請求権を有するものとされ、被害の予防ないし拡散の防止が可能となりました。
また、平成25年には、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律が成立し、同法の施行後は、特定適格消費者団体は消費者被害を受けた多数の消費者のために損害賠償請求訴訟を追行することが可能となり、ますます適格消費者団体の存在意義は高まりつつあります。
他都道府県では、すでに適格消費者団体として認定を受けている団体や、NPO法人として活動している団体もあり、事業活動をとおして消費者被害の防止及び損害の集団的回復に寄与しています。山梨県においても、消費者被害が多様化・深刻化しつつある現状において、消費者団体訴訟制度等を活用して被害の予防及び拡散の防止並びに損害の集団的回復を実現する必要があるものと考えられます。そこで、この度、県内の各消費者団体や学識経験者、法律及び消費者問題の専門家等が結集して、適格消費者団体の認定を目指して『やまなし消費者支援ネット』を設立することとしました。
当団体は、事業者による不当な勧誘行為の是正、不当な契約条項を利用する事業者に対する契約条項是正の申し入れ、消費者施策に関する研究及び提言その他の活動を行い適格消費者団体の認定を受けるとともに、山梨県における消費者被害の救済・予防をはかり、消費者の生活安全と地域経済の健全な発展に寄与することを目的として活動します。
2015年4月18日
特定非営利活動法人 やまなし消費者支援ネット
設立代表者 清水 毅